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屋久島旅行記 P2

南海のアルプス


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12月23日

 この日は、百名山の一つで九州最高峰の宮之浦岳に登る。
 この旅のメインイベントと言ってもいい。

 屋久島に高い山など無いと思ってる方も多いだろう。
 しかしこの山は1936mあり、冬期には山頂で1〜2mの積雪がある。

 ガイドブックなどによると、宮之浦岳登山は10時間くらいのコースタイムである。
 普通の状態であればコースタイムより遥かに早く行動ができる。
 しかし、12月も終わりに近く積雪の状態によればこれより時間がかかることも考えられる。

 大事を取ってまだ夜も明けきらないうちに登山を開始する。

 当然だけど山の中、特に森に入ると真っ暗だ。
 ヘッドランプを着けて闇の山に一人で入っていく。

 たまにランプを消して、闇の濃さを確かめてみる。
 不気味さや怖さはない、不思議なのだが。

 歩いているうちに夜が明ける。
 この夜明け時の空の色の変化がたまらなく好きだ。

 黒から濃紺、紫から青、オレンジから黄色。
 様々な色が、刻々とグラデーションを変えていく。

 登山口自体の標高が高いため、激しい登りもない。
 登山道もしっかりと整備されているため歩きやすい。

 オフシーズンであることと早朝であるため俺のほかに登山者はいない。
 心配した積雪もほとんどないが、至る所から湧き出す水が凍っている箇所はある。

 標準コースタイムの半分くらいの時間で山頂に立つ。
 ほかに誰もいない山頂を独り占めした、俺は叫んだ。
 「ありがとう〜!」

 俺としては今回は普通に歩いて登山なので、写真を撮りつつゆっくり登った。
 せっかく屋久島まで来たのだから下りはもっとゆっくり下りることにする。

 屋久島は雨が多く気候も安定しない。
 冬期は降水量が少ないとは言え、この日の天候は最高だった。

 宮之浦岳のほかにも連々と続く1800m級の山々を眺めながら歩を進める。
 巨木や巨岩が多く圧倒的な存在感を俺に見せ付ける。

 降水量が多いせいであちこちからきれいな水が湧き出している。
 その水が作り出す湿原が広がる、まるで日本庭園のような。

 そして峰々の向こうに広がる広大な海が太陽に照らされ輝いている。
 山頂で叫んだ感謝の言葉は自然に湧き出たものだ。

 急いだつもりはなかったが、結果的にプランより早く下山してしまった。
 そこで俺は考えた、こんな天気の良い日に外にいないなんてもったいない。

 もう一つ山に登ることにする。
 地図を眺め次のターゲットを決め、車を走らせる。

 海辺にそそり立つモッチョム岳。
 
 屋久島は、海辺に集落がありそのすぐ裏の山を前岳という。
 宮之浦岳のように島の中心部にある山を奥岳と呼ぶ。

 奥岳の方が標高は高いが登山口の標高も高い。
 一方、前岳は標高は低いが登山口も低く、さらに急登が続く。

 モッチョム岳もそんな前岳の一つで標高は940mしかないが険しい坂を登り続ける。
 途中、万代杉という巨木と戯れたりしながらひたすらピークを目指す。

 何度かロープをよじ登りピークに立った。
 集落と海がミニチュアのように眼下に広がる。

 南国特有の激しい太陽が心地よく照り付ける。
 海と反対側を見ると奥岳が連なっている。

 俺は山に入るとあまり休憩を取らない、特に歩きのときは。
 しかしさすがに疲れたのと、気持ち良さそうだったので山頂の岩の上に大の字で寝転ぶ。

 ああ、俺は幸せ者だ。

 さすがに日暮れの時間もあるので下山する。
 今度は激しい下りが続く、時間が短縮できない。

 日が暮れるまでには確実に下山できる、焦る必要は無い。
 じっくり山の空気を味わい、木々や草や花を眺める。

 下山後、海岸の露天温泉に向かう。
 夜明けの次に好きな時間、日の入り時を狙って湯船に浸かる。

 湯がぬるくて肌寒いくらいだが、長湯するには丁度良い。
 今日の山を思い出しながら、暮れてゆく空を眺める。

☆詳細な山行記はこちら


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