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涙がキラリ☆

涙がキラリ☆


 この3ヶ月でスピッツを取り巻く状況は大きく変わったのに当の本人たちはそんなのどこ吹く風という調子で日々レコーディングに励んでいる毎日だそうです。
 真夜中のブラウン管やふとつけたラジオ、立ち寄ったコンビニやがそりんスタンドでも「ろびんそん」が流れ、私的な都合もあってこの3ヶ月間全くスピッツのメンバーに会っていなかった私でさえ、なんだかスピッツに行動を見張られているような(笑)気さえしてしまう日々でしたのに。
 そんな中「日本一七夕にこだわる男」がまたつい口ずさんでしまうメロディ満載の曲を作りました。タイトルは「涙がキラリ☆」。☆がポイント高いです。イメージ的には「悪い女に似てる曲」(マサムネ談)・・・相変わらずだわ、この人たち。



--いいタイミングでシングルが出ますね。

田村
 うん。なんとなく出す。
--なんとなく?こんな状況になってるっていうことは、全然考えずに?
三輪
 全然考えてない。まさかこんなに売れるなんてね。
田村 誰も考えてなかったって。
三輪 あけてびっくりって感じよ。
田村 「ろびんそん」がロングセラーになってるから、リリースの間隔がすごく短く感じるけど・・・。
三輪 「ろびんそん」が売れたから出すっていうんじゃないんだよ。最初からよてい通り。
草野 そう、七夕だから。タイトルだってさ、狙ってるんだよ。なんか橋幸夫のアイドル時代を彷彿とさせない?(笑)夏だし七夕を盛り上げないとね。
--なんで七夕にこだわるの?
草野
 だって使命感感じてるから。
田村 ってことはまた来年のゴールデンウイークは拘束されるってこと?
草野 だけどクリスマスは休みにしてあげるからさ(笑)。俺、クリスマス嫌いだから、クリスマス・ライブはやらない。ここで断言する。七夕ライブはやりたいけど。だって、俺、ちゃんと言い訳できないものとか大義名分がないものっていやなの。もともとクリスマスっていうのはホーリーな日なわけでさ、男と女がいちゃつく日じゃないのよ。でも日本じゃそうなってるでしょ?それはどう考えても変じゃない。七夕は物語自体がいちゃつきなさいっていってるわけだし。
--いちゃつくというところに視点を置いた意見ですね。
草野
 そう。浴衣もいいしね。
--なるほど(笑)。前がああいう感じの曲だったから、次はこういう感じっていう意図的なものはなかったんですか?
三輪
 候補が4曲あったんだけど、一応「ろびんそん」がああいう形になったもんだから、それは確かに無視できなかったよね。だから選択するときに頭の片隅にはあったと思うけど・・・でも、それがなくても「涙がキラリ☆」になってたから、きっと。
草野 4月前半がアルバムの曲作り期間で、そのときにできた曲なんだけど。最近ギターで作ってるなって思える曲が少なくなってきてるような気がしてるから、それなら今回は全部ギターで作ろうと思って。ギターでできるメロディをもう一度見直そう、と。今こそギターの時代、俺たちがギターでやるのは使命かも、なんて思って。
--ってことはシングル用に作った曲っていうわけでもなく。
草野
 もちろん意識はしてたけど、それも含めて全部アルバムに入れるためのものだったから。でも「涙がキラリ☆」は絶対出したかったの。七夕リリースが決まってたから。曲作る前から(笑)。詞の”同じ涙がキラリ〜星を待っている二人”っていうところが曲と一緒にできあがってて、こりゃもう七夕に出さなきゃ嘘だと思って。で、音の感じとかがすごくよくできて。イントロだけでかなりひきつけられる曲になったんじゃないかなって思う。イントロがよくできた時点でこれはシングルだなって。
崎山 これは強い曲だと思うんだよね。これから先のことも含めて、スピッツをどう打ち出していくのかっていう俺たちの意識がはっきりわかると思うから。
--大勢の人に聴かれるというのを初めて前提にして作ってない?
崎山
 そういうのはあったつもりはないけど・・・・けっこう心して作ったところはあるから。そのへんの充実感、手応えっていうのはすごく感じたけど。だからリリースされるのが待ち遠しいんだよね。実は。
--なんだか私には、手堅いなっていう印象でしたけどね。
三輪
 あんまり好きじゃない?
--ううん、そういう意味じゃなくて。
田村
 うーん、言われてみればなんとなく・・・手堅いかな(笑)。
草野 やっぱりシングルとして出すとそうなっちゃうんだよ。だって難しい曲シングルで出すのはあまり意味がないと思うし。ポップな曲だから出すんじゃない?ポップじゃなかったらシングルで出さなくていいっていうか。アルバムが基本なわけだからさ。
三輪 そうです。その通り。これがアルバムを聴くきっかけになってくれればいいよ。
草野 正直言って「ろびんそん」がなんであんなに売れてるのかもまだわかんないんだしさ(笑)。いい曲だとは思うけど、ここまで売れる曲かっていったら・・・それは「ろびんそん」がっていうんじゃなくて俺たちの曲がっていう意味で・・・スピッツの曲がこんなに売れるもんなのかなぁ。変な気分。世の中どうかしてるよ(笑)。でも、ヒットしたおかげであと5枚はアルバム作れるかもっていう、そういう喜びはあるんだよね。いくらこのあとダメになってもあと5枚ぐらいはって(笑)。
(ここでマサムネ君はビデオ撮影に)
--ところでレコーディングはいい調子で進んでるんですか?
崎山
 充実してるよ、すごいよ、本当。
三輪 レコーディングならではの苦労はいつものことながらあるけどね。
田村 レコーディングっていつも何かしら課題があって、去年も課題はクリアできて、今年はまた新たなものがあるわけよ。
三輪 逆に難しくなってるかも。合格点っていうか、レベルが去年より上がるから。その分大変になってくる。今までよかったこともダメになる。
崎山 ダメなところがよりはっきり見えてくるから。
--去年の大変な課題をクリアできたことが今年の目標になったりしてるの?
三輪
 それはハマったときには助けになるかもしれないけど。それをどういう風にクリアするかっていう方法論はたくさん手に入れてるわけだからさ。それと、まわりがそういう雰囲気を察知すると当人を盛り上げようとするようになった。
田村 でも俺たちのいけないところは、そういうのを感じちゃってそれがプレッシャーになっちゃう(笑)ときもあること。
三輪 感じてないときもあるけどね。人が一生懸命ダビングしてるのに各自下向いて本読んでるとかさ。
田村 それは感じてるからだよ。その雰囲気に負けないように本でごまかす。その場から立ち去るとか(笑)テツヤがハマってるのを見ると気持ちがわかるから、だんだんこっちがつらくなって、ついつい『北の国から』を見ちゃったりする(笑)。
三輪 もうこのスタッフで3作目だし、何でも言える気心知れた人たちとやれるようになってきてるから。やりやすい状況になってるよ。
--そういうのって大事?
田村
 一番大事じゃない?


 アルバムのことについては撮影の合間にマサムネ君にも話を聞きました。
草野
 またちょっと感じの違うものになると思うから。みんなが気に入るか入らないかはわからないけど。ちょっとロックに戻るっていうか、『惑星のかけら』のようなテイストも少しは戻ってきてるんだけど、あそこまではネガティブではないかな。ポジティブなスピッツのロック(笑)になってると思う。できあがりを聴いてみないとまだわからないけど『空の飛び方』ほどはつるっと聴けないかも・・・。あ、でも曲は相変わらず全部短いからさ(笑)。
--4分以内?
草野
 そうそう(笑)。でも今度のアルバムがもし売れて、この追い風の状況だから売れたんだっていうふうに、思われるとしたらくやしいっていうのはある。だからこそ、絶対納得したものを作りたいんだよね。
--前からいい曲たくさんあったしね。
草野
 うん。昔から同じようにやってるし、スピッツはデビューしたときからちゃんとやってるんだもん(笑)。

--そういえば前に田村君「あんまり売れなくてもいいんだよな」なんて言ってたじゃない?
田村
 うん。っていうか、売れたくないっていうよりも長く続けたい。今の風潮だと売れちゃうと長く続かないじゃん。消費されちゃうっていうかさ。だからそういうのの例えで売れたくないって言ってただけ。
三輪 怖いんだよ。どうなるかわからないから。そこが難しいところだよね、プロでやっていくことの。
崎山 今はまだ1曲だけで余計に加速しちゃってるところがあると思うからさ。これからもっと俺たちの顔なり、中身なり、どんどん音楽を通して伝わっていくだろうから。これからがんばらないとね。
--でもすごいよね。「ろびんそん」だけでみんながスピッツのことを知るようになっちゃったんだもんね。
田村
 今のイメージだと絶対スピッツ=ろびんそんだから。大多数の人にとって。
三輪 だから逆に浮かれてる時期ではないんだよ。喜んでばかりはいられない。今ここでちゃんと地固めしておかないと。何も考えていないようでいて、けっこうみんな考えてるかもしれないし、まわりは俺たち以上に考えてるだろうしね。そのへんはすごく幸せだと思ってる。今までのペースは崩さずにいくよ、これからも。
--スピッツのことだから、極端に変わることはないだろうけど・・・でもあんまり変わっちゃうといやだなぁとは思う。
三輪
 ま、ちょっと変になってきたら言ってよ。そういうのも必要だと思うし。俺らきっとわからないからさ。いやだなと思ったらそう言ってくれていいからさ。
--うん(笑)。
田村
 でもそう言われたら、俺たち変わってないって言い張るよ、絶対(笑)。
三輪 君が変わったんだよとか言って。
田村 えがちゃんがこのよさに気づかないだけだよ、なんて言っちゃったりして(笑)。


 そう言い張る光景が想像できるだけに・・・(笑)。相変わらず淡々と進んでいくようなスピッツですが「涙がキラリ☆」にしてもカップリングの「ルナルナ」にしても次を期待させるヒントが隠された重要な曲。じっくり聴き込むことにしましょう。深読みしすぎるのはつまらないけどね。

'95 PATI▼PATIより


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