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1997.1.29 レポ
Jamboree Tour'96-'97
1997.1.29
渋谷公会堂

スピッツ、”過去の栄光”を語るの巻


1月29日、渋谷公会堂。はたして実際、スピッツのライブはそのまんまだった。
始まりから終わりまで、うれしくなるくらい周りの女の子たちは無邪気に感動したり、かわいく興奮したりしてる。ひとりひとりがどんなふうにスピッツを思っているか、透けて見えるような愛情の粒の集まり。しかし、ほのぼのと黄色い声が飛ぶ中に響きわたるスピッツって、いいものです。

オープニングはスカッと気持ちいいギターサウンドで(ちなみにまだツアー中なので、曲順は秘密ね)。気持ちよさそうにぐわんぐわんかき鳴らされるギターでぐいんぐいん会場のテンションを高めるから、「あれ、意外にロック印な熱いライブなのかな」と思ってみたら、そうでもなかった。
「ハチミツ」「初恋クレイジー」など、曲が続く中、やっぱり彼らの弾きっぷり歌いっぷりは基本的に淡々としてるのだった。勢いで押し切って嵐のように時間が過ぎてった、というライブではないのだ。もちろん、つまらなそうに見えるわけではない。彼らの曲がじわじわと、少しずつ感動を高めてくれるように、彼らのライブも底から静かに強い力を立ち上げてくるということ。
ほぼ3曲に1回の割合ではさまれるマサムネくんのMCにもそれはあらわれてた。
「渋公って、昔は歩いて来てたんです。てくてく坂上ってね。
今はエラくなったから、崎ちゃんのフェラーリに乗って来てるんですけど」
「・・・」(ため息の観客)
「あ、うそよ?!フェラーリはうそですっ!」
「・・・で、僕いつも遅刻するから入り口にいる女の子のファンに”なんでマサムネさんだけいつも遅刻するんですか?!って真剣に聞かれちゃって・・・こんなこと話してもしょうがないよね」
「あのね、スタッフにこの前赤ちゃんが出来たんですよ。もうねえ、赤ちゃんってすごいなあっていうさあ!僕も自分の赤ん坊のころの話をよく、昔聞かされてね。母親がミーハーで赤ん坊の僕を見せびらかしたくて、黒沢年男とか布施明のサイン会に連れていってさ・・あのー、昨日からラジオみたいなMCになってますけど、もう今日はこういうノリでいこうと思ってます」

のほほんとしたMCである。合間にこんなとりとめのない(でも大事な)話をはさみつつ、最新アルバム『インディゴ地平線』の曲を中心に、昔の曲もまんべんなく。中でもかなり昔の「うめぼし」ではイントロからみんな大感激。
ちなみに恒例となっている、メンバー紹介のMCのお題は"過去の栄光"。みなさんの栄光は小学校のときらしい。
田村くんは小3のバレンタインで3つチョコをもらったこと(これ以上の幸せがあるか!と思ったという)。
崎山くんは所属していた野球チームが県で優勝したこと。
三輪くんは大嫌いなまらそん大会で、遅いことをカムフラージュするために走りながら連発したギャグに自分でウケてしまい、ビリになったこと(彼は栄光を感じたという)。
マサムネくんは「あんま栄光ないんですけどね・・・」と言いつつ、まらそん大会での学年5位と作文で賞をもらったらしい。

淡々と動きも少なく名曲を演奏していた彼らが、跳びはねたり走り出したりしたのは、やはり特別においしいあの曲で幕開けした後半。
曲間も短く繰り出されるのは「スパイダー」「渚」「バニーガール」そして「ヒバリのこころ」。
田村くんが体をうねらせてベースと遊び始めたと同時に、みんなの体も軽くなる。あの独特の軽い心地いいビートに乗せてみんながちょいはにかみながらも体を飛ばし出す。少しずつ体の中にためてた興奮がやっとはじけ出す。うわ、気持ちいい。いい曲連発って快感だ。
そしてそんな心地いい感動と同時に、このライブはしっかりがっちりロックだった。単にいい気持ちになるだけじゃなくて、なんかずしんと大きなカタマリがこっちに届いてしまったということ。暗い会場の中でかき鳴らされた「インディゴ地平線」はただ素朴にかわいく感動してるだけじゃおさまらなかったのだ。どうやら自分は最初に思い描いていた気持ちにプラスアルファな何かをもらって、すっかりファンな心持ちで会場を出たのです。

1997 GBより


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