Warning: Failed opening '/home/www/html/ban/imode.php3' for inclusion in /home/www/html/ban/html.php3 on line 214
<第17章〜兄妹喧嘩〜>
「さて、行くか」
エレクトーンがバロックを背中に、そして立ち上がればシンフォニーに向かって言えば、シンフォニーは笑顔で頷いて部屋を出て、フォルテの泊まっている部屋のドアをノックした、
「フォルテちゃん、出かけますよ〜」
「早くしろー」
面倒くさそうにエレクトーンがドア越しに声をかければ、開いたドア、
「えっと…その……フォルテ…ちゃん……?」
目を丸くして驚くエレクトーンとシンフォニー、
「そうだよ、フォルテ・ラルゴだけど?」
長かった銀色の髪は短く涼しげで、ドレスも動きやすいショートパンツとTシャツに変わっていて、腰には自分の父親の白い鍔のない短刀を装備していた、
「一夜で何があった?」
「何も?」
エレクトーンの尋ねにも首を横に、ドラムとカノンも同じように驚いて尋ねたが、答えることがなかったので普通に首を横に振っていたフォルテだった、
「まぁ、何はともあれ、この国を出る準備は整った訳だが、ここで一つ言って置くことがある」
名も分からない、いや知る必要がない国を出る手続きをする前にエレクトーンが全員に言った、
「はっきり言うが、俺は世界なんてどうでも良い、闇に包まれようが破壊されようがかまいはしない、しかし、俺の大切な人を傷つける奴がいる世界なんて御免だ……」
それだけ言い終えれば、さっさと手続きを済ませて国を出て行ったエレクトーン、後から手続きを済ませては、首をかしげるドラムとフォルテにそっとシンフォニーが教えた、
「さっきの意味はね、『困ったことがあったら俺に言え』って事なのよ、素直じゃないから遠まわしにしか言えないのね」
微笑んではエレクトーンにくっ付いて行ったシンフォニー、フォルテも笑顔で後ろに付いて行った……
「カスタ様、あの人達に付いて行かなくて良いのですか?」
「かまわん、あのような格下の連中に付いて行くほど暇ではない」
「その割には同じような道を進んでいるのは気のせいですか?」
「激しく、かなり、凄く気のせいだ」
「素直じゃないのはあの人と一緒ですね」
「テンポ、何時から我を侮辱できる年頃になったのかな?」
「す、す、す、すみませんカスタ様!!そ、『それ』だけは勘弁です!!」
「問答無用だ」
手続きなし、もとより不法入国者、一名逃げる様に、一名追う様に誰にも見つかることもなく国から出て行った……
「お兄さん、まだ完璧に出来ないの?」
血まみれで倒れているリテヌート、近くで屈みながら声をかけるコルネット、
「お兄さんは聖魔族でしょ?霊魔法の2は魔天使の私より成功しやすいはずだけど?」
必死に起き上がろうとするリテヌート、コルネットが溜息をつきながら詠唱を始める、
「『生命の源である水よ、この者を癒す風となれ───』」
水がリテヌートを包み込む、血まみれだった身体は怪我をする前よりも回復、しかしそのままで水が身体から離れることはなかった、
「あれ、おかしいな、なんで水が引かないんだろう」
コルネットが首をかしげる、傷がふさがり、立ち上がっても水は引くことがなかったが、リテヌートが静かに空を見上げれば、水は地へと落ちて吸い込まれていった、そして空を見上げたままリテヌートが呟いた、
「コルネット、私が霊魔法の1と2を扱えない訳は分からないけど……」
「けど?」
「『3』なら扱えるよ」
「ぇ……?」
瞬時にして吹き飛ばされるコルネット、土煙が大量に舞い上がり、上空へ逃げては様子を伺うコルネット、
「いったい何が……」
「コルネット、今まで頼りないお兄ちゃんで済まなかった、けど今度からは少し頼りがいがあるお兄ちゃんになれた気がするよ」
上空へ、青い蝙蝠の翼で羽ばたくリテヌートが微笑めば、コルネットも微笑んだ、
「お兄さんも青い翼になったね、んじゃ私も」
自分の前で腕を上に上げながら一気に下に振り下ろせば、白い翼が青く染まった、
「世界最大にして最強の兄妹喧嘩だね、以前は洗濯物でお兄さんと喧嘩していたけど」
二人が微笑めば、兄妹喧嘩が始まった………